構えのコツ③体軸を床に対し垂直より若干後ろ寄り、右寄りに傾ける
これも、一般的な指導者が見たら「何を言ってるんだ、真っ直ぐだろうが」とか言われそうであるが、譲ることができないくらい大事なことだと考える。まっすぐだとダメな理由があるのである。(知りたい人だけ<こうする必要がある理由>のところ参照)
体得のコツ
①で、骨盤を前傾させるために「首を上に伸ばせ」と言ったが、ここで、垂直よりも若干後ろ寄り、右寄りに伸ばすようにする。②で体重を左足に乗せると、体軸が左側に倒れそうになるのを、上半身の体軸を右側に修正してバランスをとる感じになる。鏡で見ると、自分の体が軽く「く」の字になるようにする(図1)。本当に軽く、極端に曲げてはいけない。
この時、体軸を右側に傾けることで、再度右足に体重が乗ってしまうと意味がない。左足に体重を乗せ続け、くの字になってバランスをとるのである。
【図1】
こうする必要がある理由
※読みたい人だけ参照
上半身の体軸が左に傾くと、以下のような不都合が起こる。
・竹刀を操作するとき、右手で押し引きするような動作になる。また、竹刀を振り上げる時、左肩に担ぐような軌道になり相手から見て小手がガラ空きになったりする。
・相面になった時、相手から面が丸見えになり、当てられてしまう。
・小手を打つ時、裏からのぞき込むような打ち方になり、左こぶしが右側にずれ、竹刀が相手の竹刀に対し斜めに交差するように入っていき、鍔や竹刀にあたりやすい。打った後、自分の体を右にさばけず、相手の竹刀の下に潜り込むような体勢になり、後打ちをくらいやすくなる。
・胴を打つ時、自分の竹刀の先の軌道が下がり、相手の腰を打ってしまう。打った後、自分の体を右にさばけない。
このように、体軸が左に傾くことはまさに百害あって一利なしである。逆に体軸を意識して右に傾けるようにすることで、上記が全て解決する。小手や胴を打った後に右にさばくことができれば、次の技に繋げることができるが、できないと体当たりするしかなく、技がつながらない(その体当たりも体の勢いが出ず、結局打たれる)。なんでもかんでも「真っすぐ、真っすぐ」と教える人は、活躍されている一流の先生方の構えや、自分の構えを動画等で確認するとよい。自分では体得して右寄りにしてるのに、教える時は無理に「真っ直ぐ」を強要するのではなく、本当のことを教えるべきではないだろうか。