大きな声を出すことの重要性

初心者が勝てるようになるために一番大切なことは”大きな声”が出せるようになること

剣道とは、初心者と経験者で力の差が大きく出やすい競技だと思う。小学生はともかく、中高生にもなると、やはり強い人は強く、スピードも、パワーも、技のバリエーションも、後から始めた人がなかなかかなうものではない。
だが、初心者でもその気になれば、すぐに相手に勝てる可能性があるものがある。それは相手より”大きな声”を出すことだ。相手より大きな声が出せたとしたら、すでにその時点で一本取っているも同然である。そのくらい価値のあることである。
思春期の中高生は、自意識過剰になり、大きな声で気合を出すことを「恥ずかしい」とか考えてしまう人がいるかもしれない。がしかし、剣道においては、しっかり声を出せない方が、恥ずかしいのである。中には一言も発せず、サイレント剣道をやってる子たちさえも見かける。
はっきり言って、剣道において大きな声が出せないのは「お話にならない」。指導している大人たちも、声を出させるのをあきらめてしまい、出さなくてもいいよ的な空気にしてしまってはいけない。根気よく、大人自ら声を出し、生徒たちも出しやすい雰囲気を作っていくべきだと思う。指導者と声出しで勝負して、勝った人だけ掛かり稽古免除とか、チームで声出し合戦をして、負けた方が罰ゲームとして早素振り50本とか、掛かり稽古の時は周りのみんなで声を出し合わないと終わらない、とか、強制的にでも声を出すしくみをつくり、「出すのが当たり前」「出さないやつはアホ」になるよう習慣化する必要がある。

声を出すことによる3つの効果

なぜ声なんか出す必要があるのか?その効果は以下の3つである。

相手を威圧する

口論をしている相手や、親や先生に大きな声で怒鳴られると、気持ち的に負けそうになることはないだろうか。人間は、大きな声を聴くと緊張とストレスを感じ、気持ちが折れそうになるのである。試合で相手にこのストレスを与え、委縮させることができればかなり有利だ。逆に、相手の声に委縮してしまいそうになったら、それに負けない大きな声を出し「お前なんかに負けねーぞ」と跳ね返さなくてはならない。

自分の気持ちを奮い立たせる

自分から大きな声を出すことにより、アドレナリンが出て自分の気持ちが高揚する。祭りの神輿(みこし)担ぎや、音楽フェスとかで、みんなで大声出して盛り上がるのは、声を出す→アドレナリン→また声を出す・・・のループに入っているからである。これを利用して、昔から戦(いくさ)の際は、兵に鬨の声(ときのこえ)を上げさせ、普段以上の力を発揮させようとしたのである。

体をリラックスさせる

大きな声を出すには、腹筋や体幹に力をこめる必要がある。すると、結果的に肩や腕などの他の部位の余計な力が抜ける。これがすごく大事で、常に余計な力は抜きながら、打つ瞬間だけ爆発的な瞬発力を出せるようになり、最終的に「速くて強い打ち」ができるようになってくる。これは、大きな声を出すことでしか実現できない。

大きな声を出せるようなるために

これだけ声を出すことの重要性を説明しても、まだどうしても声を出すことが「やっぱり恥ずかしい」とか考えてしまう人は、もうこの際「自分は”ホイッスル”」であり、声を出しているのではなく「音を出しているんだ」と思ってほしい。腹式呼吸でお腹に空気をため、お腹から吹き出した音を、自分の首の後ろに抜いて、ホイッスルのように鳴らしているだけなのだ。もう、くだらない自意識は捨てて、強くなるためのパスポートを一刻も早く手に入れて欲しい。

剣道

Posted by 管理人